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襲名

Kinnosukesyumeikabukiza_315日昼の部、19日夜の部。歌舞伎座にて中村錦之助襲名披露公演を鑑賞。

昼の部を観た15日は日曜日。週末は和服の人が多く、朝から歌舞伎座周辺はとても華やかだった。私もなんとか自分で着つけをし、おろしたての羽織をまとって現地へ。入り口あたりで蝶の家紋を染め抜いた半被(はっぴ)を着た係の人が何人もいた。信二郎改め錦之助サンの萬屋(よろずや)の紋だ。

今回は出演の役者さんのツテもあり、1階10列中ほどの良席(K丈&後援会のYサン、師匠ありがとうございました!)。いつもなら一等席でもジーンズで行ったりする私だが(一応ジャケットは着るけど)、この日は着物で参上。同行の友人は洋装の有閑マダム風。

Kinnosukesyumeikimono_1それでいて、休憩時間に3階まで行って「めでたい焼き」を買い、場内でパクつく庶民な私たち。「めでたい焼き」は紅白のお餅が入った鯛焼きなのだが、ボリュームたっぷりでこれだけで満足してまう。たまには優雅にお弁当を食べたいと思うのだが、幕間は最大でも30分だから、食べるのが遅い私にとって食事をするには慌しすぎる。3階のカレー屋さんにも未だトライしたことがなく、歌舞伎座が改装に入る前に行かねばと思っている。

さて、襲名披露公演の出来は。最初の番組はご祝儀舞踏の「當年祝春駒(あたるとしいわうはるこま)」。歌六、獅童、勘太郎、七之助、種之助が舞う。面子から、浅草の新春歌舞伎をちょっと思い起こさせるが、勢いがあり華やか。花があっていいねぇ~、という感じ。相変わらず、シドーサンのバタバタが気になったけれども…。

「頼朝の死」は、歌昇サンの熱演が光る重厚なドラマ。真山青果作の台詞劇で、音はほとんど入らない。頼朝を誤って切ってしまった畠山重保を歌昇サンがきれいに演じている。「きれい」とか「きちんと」いう表現がじつに合う芝居だと思った。福助サンの小周防、梅玉サンの頼家、芝翫サンの尼将軍政子も存在感があって、ハマっていた。梅玉サンの殿様役はやはりヨイ。御簾の蔭、月夜をバックに物思いにふける頼家の横顔。悩める若殿の登場シーンはまことに幻想的で美しく、なぜか源氏物語を思い浮かべてしまった。役者サンも衣装も演出もとてもよかったのだけど、ストーリーが暗く重く、おめでたい襲名公演でこれを観るのはちょっと厳しかったかな。その点がちょっと惜しい。

続く「男女(めおと)道成寺」は、仁左衛門&勘三郎。狂言師左近と白拍子花子の2人が掛け合うシーンが多く、道成寺ものの中ではカジュアルで楽しい演目だ。所化の小坊主さん役が豪華。宗之助、猿弥、獅童、勘太郎、七之助、種太郎サンたちがいい味を出している。道成寺ものは長唄囃子連中が舞台奥にずらりと並ぶ。あれ、壇上に知り合いハッケーン。わが一門の佐喜サンではございませぬか。毎日舞台に乗っているわけではないのに、なんたる偶然。おつかれさまでございます。

仁左衛門と勘三郎の舞台はもう、ものすごいオーラで圧倒されまくり。「華がある」とはこういうことか、とあらためて思う。引き抜きの衣装換えが多く、それが2人分あるので見るほうも忙しい。なんか長かったし…。仁左衛門サンの女形姿も見られて、「男女道成寺」でもはや満腹に。ちょっと待て、まだ錦之助を観てないよ?

そして「菊畑」。いよいよ錦之助、登場。しかも見目麗しい牛若丸で! この季節になぜ菊?と思ったが、先代の錦之助がこの芝居で牛若の役を演じた後、歌舞伎から映画の世界に移ったという所縁(ゆかり)の演目らしい。富十郎サンの鬼一法眼は貫禄があり、見ごたえアリ。吉右衛門サンの智恵内とのからみもばっちり。さすがは吉右衛門サン、べらんめえな役もじつに味がある。歌昇サンは適役の湛海で、さきほどとはまったく違う雰囲気。うまい役者サンだなと思う。時蔵サンの皆鶴姫は、ひたすら美しく、すばらしい。錦之助サンとのツーショットが映える、映える。本当にきれいな兄弟だなぁ。腰元役に錦之助サンのご子息・隼人サンが出ていたが、デカい…。見るたびに背が高くなっている。まだ声変わり中みたいだし、さらに伸びそう。女形はキツそうだ。

「劇中にて襲名口上申し上げ候」。「菊畑」の最中、富十郎サンの仕切りで口上タイムに一転。劇中の口上を観るのは初めてだ。富十郎サン、膝を痛めたらしく立ったままで口上。鬼一法眼は杖をつく老人の役だが、床机に座るときにちょっとつらそうだった。演技もあるだろうが、膝も悪かったのか。正座はきついよね。日本の伝統芸能に携わる人は膝を悪くすることが多い。職業病ですね。

錦之助サンはふだん控えめで非常におとなしい人だという。白塗りがよく似合う二枚目で、いわゆる正統派の役者さんだ。地味という声もよく聞くが、持って生まれた美貌と品は強力な武器だし、そこが魅力。若く見えることで、かえって損をしているのかも。夜の部では出番も多く堂々たる役者ぶりだったので、それに比べると、昼の部はちょっと物足りないかな。

口上の後、登場人物たちがさらりと芝居に戻るところがおもしろかった。意外に違和感ないものだね。番組4つ、休憩入れてちょうど5時間。ヒジョーに濃厚なひとときでありました。歌舞伎座を出たら、頭クラクラ、肩と背中バキバキ。着物で観劇、楽しいけど疲れるぅ…。

photo/上・午前10時半、開場直後。戦災後の修復から55年が経過し、すでに建て替えが決定している。改修工事はいつから始まるのだろうか。
下・自作の羽織紐(関連ブログは→こちら)をつけてお出かけ。とんぼ玉が重くてバランス悪い&長すぎたみたい。ピントが妙でスミマセン。

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