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三人吉三

Sanninkichisa11日、コクーン歌舞伎「三人吉三」@シアターコクーン。

原作・河竹黙阿弥。複雑に絡んだ人間関係を把握するのがまず大変だが、芝居を観ていくうちに、絡んだ糸がほぐれてさまざまな人間模様が浮き上がってくる。

キーワードは「犬」。演出の串田和美サンはこの芝居では犬にかなりこだわっているようす。この日は照明のタイミングがまずかったらしく、冒頭、本物の犬が場内を歩いて出てくるシーンはまったくわからなかった。私の席は平場3列目とはいえ端っこだったからよけい見えなかったのだけど、とくに歓声は上がらず。犬の登場と椎名林檎が音楽を担当という情報は本作に下座で出演中のわが師匠から情報を得ていたので、あれれ?という感じだった。

この芝居では「犬」の鳴き声と椎名林檎のノイジーなギターがときおり効果的に使われている。それは「野良犬」(三人の吉三)、「畜生道」(十三郎&おとせ)の象徴。犬を飼っているものとしては「犬畜生」という言い方にかなり抵抗があるのだが、まさにそれがこの芝居のテーマだ。因果応報、人の情けを描いた古典だが、オーソドックスな歌舞伎らしい古典の演出ではなく、ラストの盛り上がりも非常に現代的というか映画のよう。串田サンは「野良犬」へのこだわりをパンフレットでも語っておられるが、この芝居は「野良犬たちのロードムービー」だと私は思った。十三郎とおとせは兄の和尚吉三に殺される。そして、三人の吉三も最後は自害して果てる。それは「犬死に」、それとも?……

芝居の流れは思ったよりもスムーズで、途中ダレることなく、最後まで楽しく観られた。勘三郎(和尚吉三)、福助(お坊吉三)、橋之助(お嬢吉三)の三人の吉は、さすがに息もぴったりで魅せられる。そういえば最初のほうで「申告、申告~♪」と自虐ネタを披露していた勘三郎サン、今回はお笑いの小ネタが今ひとつ冴えなかったような気がする。最初はちょっとダレぎみかなぁと思ったが、中盤から勘三郎サンの演技がガラリと変わり、背筋ゾクゾクモードに。やはりすごい人だ。

勘太郎サン(十三郎)&七之助サン(おとせ)は悲恋の恋人同士じつは双子の兄弟というせつない役どころ。今回、七之助サンがとても美しく、町娘のかわいらしさも嫌味なく出していてよかった。勘太郎サンとともに、いつも安心して観ていられる若手だ。また、芝のぶサンが若党と捕手役で登場。若党の立ち回り、カッコイイ。セリフも含め男装の麗人ぽかったけど。

歌舞伎俳優に混じって奮闘していたのが、自由劇場の笹野高史サン(土左衛門伝吉)。重要な役で長セリフ、立ち回り、見得と聞かせどころ、見せどころがいっぱい。見得はちょっと?な部分もあったけれど、歌舞伎として(コクーン歌舞伎だから、というのも大きいが)違和感なく観られたし、いろいろ感動させられた。前半はセリフが少し聞き取りにくかったが、悪党の過去をさらけ出してからの朗々たる声との差は理解。この役、94年のコクーン歌舞伎初演では板東彌十郎さんが演じていたんだね。

椎名林檎の参加で話題となっている音楽についてだが、アバンギャルドなロック歌舞伎という感じはしたし、彼女がこの芝居のために書き下ろした曲は芝居のシーンとすごく合っていてよかった。だが、物足りなさを感じた。思ったよりも使われるシーンが少なかったせいもあるが。長唄との掛け合い…なんて無理だったんだろうなぁ。この芝居、初日が7日だったから稽古の日数も通常の歌舞伎より長かったと聞くが、再演とはいえやはり時間は少ないよね。師匠、連日おつかれさまでございます。

開演前、Bunkamura入り口に近い交差点で、黒っぽいTシャツに黒のデカいサングラスのあやしい御仁とすれ違った。扇雀サンにすごーく似てたんですけど、観に来てたの~? 人違いかなぁ。

photo/2007渋谷・コクーン歌舞伎「三人吉三」パンフレット表紙。コクーンでは筋書でなくパンフレットとして売られていた。紙吹雪は芝居で実際に使われたもの。あのシーンは圧巻! ものすごい量で、バッグのポケットにもいっぱい入っていた。

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