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ちゅう乗り

April_kabuki_sujigaki9日、歌舞伎座夜の部。

今月の歌舞伎座はニザタマカン(仁左衛門・玉三郎・勘三郎)の競演でチケットが入手困難に。一般発売初日夜(当日は勉強会だったので出遅れたorz)にアクセスしたものの1等席の1階は最前列の端ぐらいしかなく、あとは2階しかなかった。なんとか取れた席に16時半ギリギリに駆け込む。前の方で中央付近ではあるけれど花道が半分ぐらいしか見えない。うーむ、これで1階と同じ価格とは…。

「将軍江戸を去る」「勧進帳」「浮かれ心中」。真山青果の重厚な台詞劇、歌舞伎十八番の傑作、井上ひさし原作の喜劇という濃厚な番組構成だ。

「将軍江戸を去る」は三津五郎サン、彌十郎サン、橋之助サンが熱演。徳川慶喜(三津五郎)が江戸を後にするくだりにしみじみ。夜明けの演出がキレイだった。ただ、後の2つの演目を考えると、小品とはいえ、アタマにこの物語はちょっと重いかも。いや、芝居はすごくよかったんですけどね。

そして「勧進帳」。仁左衛門の弁慶、勘三郎の富樫、玉三郎の義経という珍しい配役。仁左衛門サンの富樫はハマり役だけど、弁慶はあまりピンと来ない。勘三郎サンの富樫はなんとなく想像はできるが、個人的に当人のお笑いイメージが強いのでどーかな。玉三郎サンの義経はまあ、あのままでしょうけども。…そんなイメージを勝手に描きつつ、平成20年春のニザタマカンによる「勧進帳」を観た。

仁左衛門の弁慶は、團十郎、幸四郎、吉右衛門とはまた違い、古風だがスマートな感じ。生真面目で硬いような気がしたが、これは仁左衛門サンならではの印象だろう。今回、オペラグラスでじっくり観察し、情感豊かなその表情を堪能。仁左衛門サン、弁慶の姿が似合いすぎ。後見サンの活躍も何気にチェックできて、よかった。勘三郎の富樫はさすがにここで受け狙いのアドリブはなく(あったら興醒めだが)、これも古典的な感じ。ただ、演技も見た目も若々しすぎて、弁慶と通じ合う部分などの奥行きがあまり感じられなかった。関所を去る義経一行とそれを追う弁慶を見送る姿も、ちょっと弱いかな~。そして、玉三郎サン。デカい義経やな~と思ってしまった。つーか、正直言って、義経には見えなかったよ…。女っぽさが出すぎて生々しく、悲運の貴公子とはまったく違うキャラになってしまっていた。残念。

と、主要キャストにことごとく疑問符がつく状態だったのだが、「勧進帳」はやはり芝居としてはおもしろく、楽しかった。八丁八枚の長唄+囃子も壮観。皆さま、おつかれさまです~。曲もじっくり聴かせていただきました。延年の舞の部分などちょっとコンパクトになっていたような。あれは仁左衛門サンの演出かな。

「浮かれ心中」は長いけれど、それを感じさせないテンポのよい芝居だった。勘三郎ワールド炸裂で、今回はあまり滑った台詞がなく(中村屋の芝居にはちょっと寒いギャグなどが少なくない…)、素直に楽しめた。三津五郎&勘三郎のコンビはおもしろい。三津五郎サンっていろいろな人のよさを引き出し、自身もしっかり存在感を示す役者さんだと思う。久しぶりに歌舞伎座で時蔵サンを拝見。キレイでかわいかった~。梅枝サンと親子で女形競演だったね。女形では七之助サンがおいしい役。ちょっと悪役風味の役どころが似合う。彼は凄みのある美人になってきたな~。

「勘三郎ちゅう乗り相勤め申し候」と打たれたこの芝居、“ちゅう乗り”はラストにたっぷり。スペクタクルというよりはかわいい系のおもしろ演出。勘三郎サン、客席にいろいろ巻いてたね。2階には何も来なかったけど。3階の客席には大サービスの演出で、この芝居に関しては、3階席が得をした気分になれそうだ。

3つの演目はそれぞれ集中して見られて、21時すぎに幕が降りるまで飽きることはなかった。その分、あとでどーっと疲れが。2階席は中途半端で見づらかったのでよけい疲れたのかも。ただ、ところどころで疑問や不満はあっても、結果としておもしろかったし、楽しめた。さすがはニザタマカン、といったところか。

また、今月は昼の部の「熊野」が新しい演出らしく、長唄も聴いてみたい。幕見、いっぱいなのかなぁ。

photo/「四月大歌舞伎」筋書表紙。初代歌川広重「上野清水堂不忍ノ池」(名所江戸百景)。江戸の花見風景だ。

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