歌舞伎

江戸宵闇妖鉤爪

Sujigaki_hyou7日、「江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみあやしのかぎづめ) -明智小五郎と人間豹-」@国立劇場大劇場。原作は江戸川乱歩の「人間豹」。そう、松本幸四郎と市川染五郎が洋服でポスターに登場し話題となった新作歌舞伎である。

明智小五郎シリーズは小学生の頃、何作か読んだ覚えがあるが「人間豹」は記憶にない。猟奇的殺人、歪んだ情愛、異形、おどろおどろ…子どもには向かない内容だが、これが乱歩の小説の醍醐味。原作を確認すると小林少年も活躍するようだし、とくに大人向けというわけでもないだろう。

で、このストーリーが歌舞伎という手法で描かれて。時代は幕末の江戸。着物の衣装も時代がかった台詞回しも違和感なく、思っていた以上に歌舞伎ぽい。というか、フツーに江戸の時代劇という感じ。斬新なのは演出と音楽かな。ワイヤーアクション、猟奇的演出、場面転換などは新しい。染五郎サン、空をびゅんびゅん舞って楽しそう。鉤爪になったときの姿と動きがよかったっす。隈取と表情を見て、私は敬愛するベーシスト、KISSのジーン・シモンズを思い出し、ニヤリ。ワイヤーアクション&宙乗りはもっと派手でもいいなぁ。

音楽は新内がたっぷり聴け、一部SEによる効果音(太鼓、豹の咆哮)も。新内のフレーズが入る長唄の「みやこ風流」をお稽古でちょうどやっていることもあり、新内の弾き語りを興味深く見せてもらった。また、浄瑠璃、長唄それぞれ見せ場があり、掛け合いがおもしろい。師匠、おつかれさまでございます。

正味2時間余りの芝居で、展開はスピーディ。飽きないし最後まで楽しく観られたが、時間の流れがちょっとわかりづらかったかも。春猿サン、どの役もハマっていていい感じだった。染五郎サンとのツーショットが美しい。“明智”幸四郎サン、存在感はさすが。しかし紋付羽織に十手といういでたちに、うーん、“鬼平”を連想してしまったのです…。スマートな探偵・明智小五郎はスーツ姿で見たいなぁと思った次第。でも、それじゃあ歌舞伎とは言えないか~。

photo/筋書表紙。勇壮な豹の襖絵「竹林豹虎図」(名古屋城管理事務所 蔵)。

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浅草にて

          Asakusa_nakamuraza

13日、平成中村座十月歌舞伎「通し狂言 仮名手本忠臣蔵」@浅草寺。夜の部(Dプログラム)を観劇。

Dプロは五段目 山崎街道鉄砲渡しの場・二つ玉の場、六段目 与市兵衛内勘平腹切の場、七段目 祇園一力茶屋の場。「若手が大役に挑戦」というのがウリのプログラムのようで、早野勘平&寺岡平右衛門に勘太郎サン、おかるに七之助サンの中村屋brothers。若い2人を中心に、まさに熱演! 悲劇を扱った芝居だから、演技はシリアスに徹してガンガン押していくぐらいがいい。

幕開きから終いまで3時間53分(途中休憩は25分1回のみ)という長丁場だったが、最後まで集中して観ることができた。ベテラン陣の演技も渋く、要所要所に存在感を示していてよかったと思う。

今回、我々が座ったのは2階下手側の梅席。舞台寄りだったので、役者さんとの距離が近く、臨場感があった。上手の舞台袖が見えたりしてリアルな生音(声、演奏)も心地よく、伝統的な芝居小屋風の造りを堪能。舞台の真横、義太夫と下座の御簾の真上に設置された桜席がすぐ隣にあったけれど、あの席は黒子さんの動きもよく見えそうだし、芝居好きにはおもしろいだろうなぁ。

Asakusa_cake Asakusa_kame_2

photo/上・会場内、小屋の外に停められていた車。なんだろうと思っていたら、お大尽席の送迎カーらしい。これに乗って駅から? 観劇中だけでなく、往きも帰りも超目立つ。さすがはお大尽!
下・浅草グルメ2点。アンヂェラスのホワイト(ケーキ)と亀屋の亀せんべい。美味でした~。

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夏祭浪花鑑

Q.この写真を撮った場所はどこでしょう?
ヒント/大阪ではありません。

         Kuidaore_taro

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A.渋谷です!
6月13日(金)、Bunkamuraのシアターコクーン入口にて撮影。

コクーン歌舞伎「夏祭浪花鑑」を観に行ったら、入り口にこの「くいだおれ」人形が。正式な名前は「くいだおれ太郎」。浪花の男の物語、太郎サンが応援してまっせ~♪というノリらしい。15日までコクーンに滞在とか。

道頓堀の「くいだおれ」は今年の7月8日に閉店することが決まっている。太郎さんの行く末を気にかけつつ、以下、芝居の感想など。「夏祭浪花鑑」はコクーン独特のノリもあり、まさに祭りという感じで楽しめた。渋谷バージョンはベルリンでやったものより何十分も短いそうだが、休憩込みでだいたい3時間。あまり長すぎても疲れるし、このぐらいがちょうどいいかも。

今回は花道脇の席だったので、縦横無尽に駆け回る役者さんたちを本当に間近に観られて、大満足。泥よけのビニールシートもかぶったけれど、こちらまで跳ね返ることはなく。あれは役者さんが泥に飛び込んだしぶきをよけるものでなく、花道を走るときの跳ね返りをカバーするものなんだね。花道は泥の足跡だらけになっていた。勘三郎サンの足跡もしっかりついていたよ。

今日からキャストが一部変わっている。うーん、それも観たいのだが。師匠、千秋楽まで頑張ってくださいね~。

photo/渋谷に出張中のくいだおれ太郎さん。

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五月大歌舞伎@演舞場

21日、新橋演舞場にて五月大歌舞伎午前の部。

「毛谷村」「藤娘/三社祭/勢獅子」「一本刀土俵入」。緩むところがなく、最後まで楽しく観られた。熱すぎず冷たすぎず、ほどよい温度感。吉右衛門、歌六、歌昇、芝雀、錦之助、染五郎、亀治郎の面々による秀作をじっくりと楽しめた。

踊り三連作では、長唄、清元、常磐津の変化も堪能した。その前の「毛谷村」が浄瑠璃だから、異なる音楽ジャンルが連続で登場。これもまた充実感アリ。

今回は4列目だったので、役者さんの表情はもちろん化粧や衣装や小道具のディテールまで肉眼でバッチリ見えた。歌舞伎の衣装の柄や色、重ねの組み合わせなどを観察するのはとても楽しい。吉之亟サン(「毛谷村」お幸)と福助サン(「藤娘」藤の精)の衣装がすごく豪華だった。藤の精はものすごく愛想がよく、ニコニコ顔の舞。新鮮。

小屋を後にしたときの、ほのぼのした満足感がよかったな。派手派手な演目で押す濃厚な歌舞伎はもちろん楽しいが、まったりと楽しめる、こんな構成もいい感じ。

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ちゅう乗り

April_kabuki_sujigaki9日、歌舞伎座夜の部。

今月の歌舞伎座はニザタマカン(仁左衛門・玉三郎・勘三郎)の競演でチケットが入手困難に。一般発売初日夜(当日は勉強会だったので出遅れたorz)にアクセスしたものの1等席の1階は最前列の端ぐらいしかなく、あとは2階しかなかった。なんとか取れた席に16時半ギリギリに駆け込む。前の方で中央付近ではあるけれど花道が半分ぐらいしか見えない。うーむ、これで1階と同じ価格とは…。

「将軍江戸を去る」「勧進帳」「浮かれ心中」。真山青果の重厚な台詞劇、歌舞伎十八番の傑作、井上ひさし原作の喜劇という濃厚な番組構成だ。

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助六

Kabukiza_2書きそびれていた1月の歌舞伎座の観劇メモ。

1月16日、歌舞伎座夜の部。「鶴寿千歳(かくじゅせんざい)」「連獅子(れんじし)」「助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」。松竹チケットWEBで戻りと思われる7列目、花道に近い席をGET。花道をたっぷり使う「助六」を楽しむにはこの上ない良席だった。

場内はいつもより和服の人が多く、お正月らしい雰囲気。私は開演ギリギリまで仕事だったため、思いっきり普段着で観劇。9日の演舞場へは着物で行ったんだけどね。私の2008年は團十郎&海老蔵の芝居で幕開け。こういう年もあるのだなぁ。

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雷神不動北山櫻

Narukamihudokitayamazakura先週の話になるが、9日、初春花形歌舞伎 通し狂言「雷神不動北山櫻」@新橋演舞場。夜の部。

「成田山開基1070年記念」らしく、冒頭で市川海老蔵が口上でその言を述べていた。海老蔵サン、すでにテンション高くノリノリ。一人五役、このまま突っ走るのか。

筋書にある解説によれば、「雷神不動北山櫻」は寛保2年(1742)に大坂で初演、二代目市川團十郎(当時は海老蔵)が粂寺弾正、鳴神上人、不動明王の三役を勤めた[*]という。歌舞伎十八番の「毛抜」「鳴神」「不動」をミックスさせた通し狂言で、強引な展開ではあるが、それぞれがひとつの物語につながっている。

今回は海老ちゃんが三役に加え早雲王子、安倍清行も演じて、もう大忙し。なにせ五役ですから。わかりやすいキャラばかりなので、演じ分けの心配も不要。全編、海老蔵節で押しまくり。それがまたおもしろくて、海老ちゃんワールドを堪能した。

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プレ講座「長唄三味線(歌舞伎長唄の話・実演)」

Hosozaoこの秋、わが師匠がカルチャースクールで講座を始めることになり、9/23(日)にその「プレ講座」(お試し回)が開かれることになった。講座のタイトルは「長唄三味線(歌舞伎長唄の話・実演)」。私も少しお手伝いすることに。

本日、プレ講座の内容について作戦会議。えーと、少しだけネタバレを。2本立てで、大雑把に言えば「三味線にふれてみよう・弾いてみよう」「歌舞伎の名シーンに使われる長唄の解説と実演」という感じ。23日はオープン講座なので、受講生の数もわからず(ゼロの可能性も!)、こちらもまったく手探りの状態だ。生徒さんがたくさん来られた場合は三味線の実技が行き渡るかどうかも不安。どうなることやら~。つーか、まず、私自身お稽古しないとヤヴァイです。

お試しでも有料だから、「サクラ大歓迎!みんな来てね~!」というわけにもいかず…。連休の中日だしねぇ。でもでも、ご興味のある方はぜひお越しくださいませ! 当日、教室にてみなさまをお待ち申し上げまする。

目黒学園カルチャースクール 
http://www.megurogakuen.co.jp/index.html

●長唄三味線(歌舞伎長唄の話・実演)
講師/杵屋佐近
   [(社)長唄協会演奏委員長・長唄佐門会幹事]
   杵屋佐喜三郎
   [長唄佐門会幹事]

【プレ講座】
日時:2007年9月23日(日)13:00~14:30
場所:目黒学園カルチャースクール 
   第三教室 若葉興業ビル(JR目黒駅西口徒歩3分)
    東京都目黒1-3-17 若葉興業ビル3階
受講料:1050円

ちなみに本講座は以下の日程。
【10月開講 本講座】
日時:2007年10月~12月 第1・3日曜
   10/7、10/21、11/4、11/18、12/2、12/16
   13:00~14:30(全6回 計18900円)

歌舞伎や長唄に興味ある方がお近くにおられましたら、「こんなのあるみたい!」とぜひぜひお伝えください。みなさま、どうぞよろしくお願い申し上げます<m(__)m>

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三人吉三

Sanninkichisa11日、コクーン歌舞伎「三人吉三」@シアターコクーン。

原作・河竹黙阿弥。複雑に絡んだ人間関係を把握するのがまず大変だが、芝居を観ていくうちに、絡んだ糸がほぐれてさまざまな人間模様が浮き上がってくる。

キーワードは「犬」。演出の串田和美サンはこの芝居では犬にかなりこだわっているようす。この日は照明のタイミングがまずかったらしく、冒頭、本物の犬が場内を歩いて出てくるシーンはまったくわからなかった。私の席は平場3列目とはいえ端っこだったからよけい見えなかったのだけど、とくに歓声は上がらず。犬の登場と椎名林檎が音楽を担当という情報は本作に下座で出演中のわが師匠から情報を得ていたので、あれれ?という感じだった。

この芝居では「犬」の鳴き声と椎名林檎のノイジーなギターがときおり効果的に使われている。それは「野良犬」(三人の吉三)、「畜生道」(十三郎&おとせ)の象徴。犬を飼っているものとしては「犬畜生」という言い方にかなり抵抗があるのだが、まさにそれがこの芝居のテーマだ。因果応報、人の情けを描いた古典だが、オーソドックスな歌舞伎らしい古典の演出ではなく、ラストの盛り上がりも非常に現代的というか映画のよう。串田サンは「野良犬」へのこだわりをパンフレットでも語っておられるが、この芝居は「野良犬たちのロードムービー」だと私は思った。十三郎とおとせは兄の和尚吉三に殺される。そして、三人の吉三も最後は自害して果てる。それは「犬死に」、それとも?……

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襲名

Kinnosukesyumeikabukiza_315日昼の部、19日夜の部。歌舞伎座にて中村錦之助襲名披露公演を鑑賞。

昼の部を観た15日は日曜日。週末は和服の人が多く、朝から歌舞伎座周辺はとても華やかだった。私もなんとか自分で着つけをし、おろしたての羽織をまとって現地へ。入り口あたりで蝶の家紋を染め抜いた半被(はっぴ)を着た係の人が何人もいた。信二郎改め錦之助サンの萬屋(よろずや)の紋だ。

今回は出演の役者さんのツテもあり、1階10列中ほどの良席(K丈&後援会のYサン、師匠ありがとうございました!)。いつもなら一等席でもジーンズで行ったりする私だが(一応ジャケットは着るけど)、この日は着物で参上。同行の友人は洋装の有閑マダム風。

Kinnosukesyumeikimono_1それでいて、休憩時間に3階まで行って「めでたい焼き」を買い、場内でパクつく庶民な私たち。「めでたい焼き」は紅白のお餅が入った鯛焼きなのだが、ボリュームたっぷりでこれだけで満足してまう。たまには優雅にお弁当を食べたいと思うのだが、幕間は最大でも30分だから、食べるのが遅い私にとって食事をするには慌しすぎる。3階のカレー屋さんにも未だトライしたことがなく、歌舞伎座が改装に入る前に行かねばと思っている。

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義経千本桜

Yoshitsunesenbonzakura_17日、「通し狂言 義経千本桜」夜の部@歌舞伎座。

「義経千本桜」は「仮名手本忠臣蔵」「菅原伝授手習鑑」と並ぶ、義太夫の三大名作狂言のひとつ。初演は歌舞伎でなく、人形浄瑠璃。全編を通じて浄瑠璃の渋く力強い音楽が流れ(太夫の熱演も見逃せない)、義経を取り巻く人々の物語が展開していく。

夜の部は物語の後半、大詰めまでの「木の実」「小金吾討死」「すし屋」「川連法眼館」「奥庭」。いつもは女形の扇雀サンと時蔵サンが今回は男役というのが新鮮。扇雀サンの小金吾は、立ち廻りのさばきも美しく、見やすかった。

なんといってもよかったのが、仁左衛門サン扮する「いがみの権太」。大阪人としては、今回の上方バージョンはじつに心地よい。上方言葉で演じる仁左衛門サンの権太には、どうしようもないワルなんだけど根はやさしくて人情に厚いというのがよく伝わってきた。息子の善太郎に請われて、背負って帰るシーンがよかったなぁ。この芝居のテーマは“親子”なんだと、あのシーンでじんときた。子役サンもうまくて泣かせる。

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元禄忠臣蔵 第三部

Tyushinguratenugui2_1

Tyushinguratenugui_1_1年の瀬も押し迫り、連日慌しくてもはや遠い過去のような気になってしまっているが、15日に観た「元禄忠臣蔵 第三部」の覚書。

吉右衛門、藤十郎と続いた大石内蔵助、今月は松本幸四郎で完結編。討ち入りはどんな演出かとワクワクしていたら、なんと声と効果音だけで、幕が上がると、そこは戦いの後の吉良邸裏門だった。

真山青果の原作通りの演出なのか、そこはわからないが(まず、原作読まないと)、いきなり討ち入り後から始まるのに、少々面食らった。でも、達成感とやるせない気持ちが入り混じった複雑な心境の赤穂浪士たちを描く世界に、すぐに引き込まれていった。

吉良邸での集合、泉岳寺の浅野内匠頭の墓前への報告、千石屋敷での義士検分。舞台を広く使って、四十七士が並ぶシーンは、おお、さすがという迫力。思わず、数えてしまったよ…。場面によって36とか37とか。47名には足らず。私は2階3列目のど真ん中に居たのだが、見えなかった役者さんもいるかもしれない。

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元禄忠臣蔵 第二部

17日16時半〜、「元禄忠臣蔵[第二部]」@国立劇場大劇場。意外にも空席がちらほら。

国立劇場40周年記念の「元禄忠臣蔵」。11月は3ヶ月連続上演の真ん中で、大石内蔵助に坂田藤十郎。京都の山科に隠遁し伏見で遊興三昧の内蔵助を、藤十郎サンが嫌味なく演じていた。

藤十郎サンのキャラ的に、コテコテな内蔵助になりそうで厳しいかも…という先入観があったのだけど、濃いなりに、とても味わい深い人物になっていて、最後までしっかりと感情移入しながら観ることができた。しかし、あまりに人間味にあふれ、端から見ると隠し事がバレバレな人のようにも見えたりして、そこはちょっとマズいと思ったが。

徳川綱豊の梅玉サンが秀逸。先月は浅野内匠頭を演っていたが、梅玉サンはこっちの殿様のほうが断然イイ。第三幕の梅玉、翫雀(富森助右衛門)、扇雀(中臈お喜世)の3人のシーンが見ごたえあり。主役の内蔵助がいないパートだが、すごく厚みがあって、今日の中でいちばんよかったと思う。

休憩時間にロビーをぶらぶらしていたら、受付に扇千景サンを発見。ファミリーが揃っちゃいました。翫雀&扇雀は、藤十郎&千景そのまま。本当にそっくりだ。

本日の最大のお目当ては、内匠頭の未亡人・瑤泉院に扮する時蔵サン。出番はそう長くはなかったけれど、存在感はさすが。品あるなぁ…。キレイだった。松也サン(堀部安兵衛)もカッコよかったです。あと、ハマっていたのは愛之助サンかな。大石主税と羽倉斎宮の二役。憎まれ役(義士たちを支援する漢学者だが内蔵助の動きが見えず、不満を抱いている)の羽倉がなかなか。意地悪な役柄も似合うのか。

先月の吉右衛門サンとは、まったく異なる藤十郎サンの忠臣蔵。吉右衛門びいきの私だが、人情劇という観点からすれば、今回のほうが断然おもしろかった。前回のクールな世界観も、もちろんよかったけれども。今回は討ち入り前夜まで一気に進み、いよいよ来月で完結。年末で仕事がどーなっているか考えるだけでも怖いのだけど、もちろん観に行きます。幸四郎サンの討ち入りはテンション高そうだな〜。三津五郎サンや信二郎サンの出演も楽しみだ。

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忠臣蔵

まだまだ忙しさは抜けず、泥沼に入ったような感じだが、今晩は歌舞伎鑑賞。

先月チケットを取ったときはこんなに忙殺されるとは思わなかった。寝不足で疲れているし、仕事のことがつねにアタマにあるので、芝居を観るのもちょっと気が重くて。しかし、出かけて正解。座席に腰掛けて舞台を眺める間、久しぶりに自分でいられたような気分。

「元禄忠臣蔵[第一部]」@国立劇場大劇場。3ヶ月かけて、忠臣蔵を全幕上演という豪華な企画ものの第1弾。10月は大石内蔵助を吉右衛門が演じる。

吉右衛門サンの抑えた演技がすごくよかった。ラストの仇討ちを決意し赤穂城から遠ざかる内蔵助の表情がじつに見ごたえあり。歌昇サンとそのご子息の種太郎サンの、きりっとした雰囲気が好印象だった。信二郎・隼人も親子で出ていた。存在感はあったが、隼人サン扮する井岡紋左衛門の今回のキャラづくりは天然なのか、狙いなのか? 今、声変わり中なのかな。

鳴り物だけで、長唄や義太夫が入らない長い芝居。セリフが多くて、見るほうも集中力が必要だがあっという間だった。第二部、第三部も楽しみだ。

個人的には、二部の内蔵助を吉右衛門で観たかったなぁ。藤十郎サンで、京都で隠棲し遊ぶ内蔵助は濃すぎるような気がする。三部は幸四郎で討ち入り。これはNHKの大河ドラマ風になるのだろうか。「元禄繚乱」の勘九郎(当時)はよかったけど…。

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南総里見八犬伝

Hakkenden9日夜、歌舞伎座で「南総里見八犬伝」を観た。

八月の歌舞伎は例年、若手主体の三部構成。第三部の「八犬伝」は18時開演だ。あの長い物語を「発端」から「大詰」まで3時間で描かれるわけで、けっこう慌しい。場面転換が多くて、そのたびに幕が閉まり、芝居がブチブチと切れてしまった感じがした。それでも、充分おもしろかったけれど。

伏姫に扇雀。八犬士を演じるのは、三津五郎(犬山道節)、染五郎(犬塚信乃)、高麗蔵(犬川荘助)、福助(犬坂毛野)、弥十郎(犬田小文吾)、信二郎(犬飼現八)、孝太郎(犬村角太郎)、松也(犬江親兵衛)。そのうち4人が二役で、扇雀(山下定包)、三津五郎(網干左母二郎)、孝太郎(浜路)、松也(安西景連)は二役。孝太郎は八犬士よりも、犬塚信乃の恋人・浜路役がメイン。みなさん朝昼夜と出ずっぱりで、いやあ、本当にオツカレサマデス。

染五郎サンの若侍姿がきりりとしてかっこよく、高麗蔵サンとのコンビも秀逸。福助サンの女田楽師じつは男子という役どころも、予想通り。福助サンの殺陣は男の役でも女にしか見えなかったが…。気合が入っていたのは、中村錦之助襲名で時の人となった信二郎サン。現八はワイルドなキャラだから、男前の信二郎サンが演じるとじつに華やか。信二郎サンってちょっと地味な存在だったので、この変化はウレシイ。松竹としても彼の襲名を前にして、二枚目の立役・信二郎をプッシュ!というモードに入ったのだろう。

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四谷怪談

Yotuyakaidansujigaki14日夜、渋谷で2006コクーン歌舞伎「東海道四谷怪談」を観劇。

今年のコクーンは中村勘三郎が出演ということもあって、発売早々にチケットがほとんど売れてしまっていた。購入に乗り遅れた私は、松竹のwebで席をなんとか確保。2月の初旬で、すでにほとんどの日が残席わずかになっていた。

なんとかGETした座席は2階の最前列。コクーンの2階は初めて座ったが、会場全体がこじんまりしているので、なかなか観やすかった。俳優さんの表情も、なんとか判別できる。ただ、お岩さんがだんだん恐ろしい姿になっていく場面の怖さは堪能できなかったけど。

勘三郎サンのお岩は、情に厚く、また、今は浪人暮らしだが武家としてのプライドもしっかり持っている奥ゆかしい女房といった印象。疑うことを知らない真面目な彼女が、毒薬を病(産後の肥立ちが悪かった)に効く血の道の妙薬と信じて、薬をくれた相手にしみじみと感謝しながら少しずつ口にふくんでいくシーンが圧巻だった。うまいなぁ、勘三郎は…。

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世界の「傑作」=KABUKI

kumadori 「人類の口承および無形遺産に関する傑作(世界無形文化遺産)の宣言」。この「傑作」に日本の歌舞伎が選ばれたらしい。

※歌舞伎が「傑作」入り(共同通信)⇒ニュースソースはコチラ

この「傑作」はユネスコが選ぶもので、私は知らなかったのだが(ハズカシイ!)、過去、能(2001年)と人形浄瑠璃・文楽(2003年)が認定されているという。ようやく、歌舞伎がその仲間に。

人が唄い、奏で、演じ、舞う「無形遺産」。建造物や自然の風景は、その唯一のものが同じ場所で歴史を刻んでいく。しかし、音楽や演劇は人により伝わり、いくつものバージョンを生みながら時を重ねていくもの。現代ではその無形の姿を録音・録画して有形のものとして残すことはたやすいけれど、それはあくまでも過去の遺産である。今日も歌舞伎は演じられており(歌舞伎座は今日、千秋楽。わがお師匠サンも出演。おつかれさまでした)、つねに新しい、オンタイムの遺産が生まれ続けている。

歌舞伎の音楽として誕生した長唄も、その「傑作」の一部として、より広く知られるようになるといいな。長唄は日本の伝統音楽であり、歌舞伎や日本舞踊のBGM。私は、歌舞伎をあまり知らない人には、長唄はようするに日本版洋楽のクラシックみたいなものと説明することもある。しかし、どう説明しても、古典芸術に興味のない人には「肩が凝る、格式ばっていて詰まらない、眠くなる(笑)」小難しいものと思われるようだ。眠くなる演奏会や芝居はよくあるので、その気持ちもわかるけど…。

この週末はお稽古もないし~、と開放感に浸っていたが、イカンイカン! 精進しなきゃあ。

photo/歌舞伎の隈取柄のあぶらとり紙入れ。和紙製。ずいぶん前に国立劇場の売店で購入したような記憶があるが、もしかしたら歌舞伎座かもしれない。

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勧進帳

9gatsu-sujigaki虎の尾を履(ふ)み
毒蛇の口を
遁(のが)れたる心地して
陸奥の国へぞ下りける

加賀国の安宅の関所の役人・富樫は、連れの強力(ごうりき)を義経と見破りながら、弁慶一行の通過を許す。情けをかけてくれた富樫に深々と一礼し、立ち去る弁慶。ここから先は、まさに闇。その旅へ向かう弁慶の覚悟。礼を終えて向き直った弁慶は、義経が進む先を見据えて、花道を飛び六方で力強く駆けていく。歌舞伎十八番「勧進帳」のラストである。

9日の歌舞伎座。九月大歌舞伎・夜の部。「勧進帳」がすばらしかった。武蔵坊弁慶/中村吉右衛門、源義経/中村福助、富樫左衛門/中村富十郎。吉右衛門サンの弁慶はTVで観たことがあるが、劇場では初めて。もう、思っていた以上にカッコよく、文句なし。弁慶は威丈夫で荒々しいキャラだが、吉右衛門サンの演技には、不器用でじつは繊細な心を持つひとりの男としての人間くささも感じられる。慈悲深さというか、優しさのようなものがにじみ出ているのだ。それが吉右衛門サンの弁慶に対する解釈なのかもしれない。

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キティふたたび

sukeroku-agemaki-kittyおととい、近くを通ったので日本橋三越にちょっと寄ってみた。いきなり目についたのが、キティちゃん。1日まで「ハローキティ ワールドグッズコレクションフェア」開催中。

そういえば、550万円の1点ものキティをある男性が購入、と何日か前の新聞で読んだなぁ(→検索したら読売新聞の記事がヒット)。購入理由が「娘の喜ぶ顔が見たい」。娘っていくつよ?と、ちょっと考えたりしてしまったんだけど。

サンリオのキャラクターはキティちゃんをはじめ、どれも無表情な感じなので昔からあまり好きでなかった私。しかし、キティラーのタレントさんへの取材と「高円寺阿波踊りキティ」をきっかけに、最近は出かける先でキティの根付があれば眺めたりするようになった。※高円寺の阿波踊りは8/26~28→NPO法人 東京高円寺阿波おどり振興協会

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NINAGAWA「十二夜」

jyuniya-sujigaki20日、歌舞伎座・夜の部。NINAGAWA「十二夜」(7/7-7/31)。

シェークスピアの「十二夜」を蜷川幸雄が演出、歌舞伎に仕立てた特別興行だ。主演は尾上菊之助。その父・尾上菊五郎も出演し、菊五郎劇団とNINAGAWA芝居の融合ということになる。しかも題材はシェークスピア。イギリスと日本の古典演劇がどうつながり、掘り下げられていくのか、観る前からとても興味深かった。

幕が開き、いきなり会場がどよめいた。なんと、舞台全面が鏡張り! 鏡面仕上げの金属板をつなげたものだと思うが、2階席に並んだ提灯や我々観客の姿がうす暗がりの中にぼんやりと浮かび上がり、あたりは不思議な空間に。いつもの歌舞伎座でなく、どこか異国の円形劇場にいるような感覚がした。

そして、聴こえてくるのは生のチェンバロの音。舞台は枝垂れ桜の景色に。バロックの調べが静かに流れ、子どもたちが合唱する。そこへ、烏帽子(えぼし)姿の大篠左大臣(中村信二郎)が現れて…。音楽と登場人物の違和感はまったくない。左大臣は装束から高貴な人物とわかるし、そのイメージがチェンバロの音によく合っている。やがて回り舞台が動き、沖合いの船の上のシーンへ。鏡のバックの前に大きな船のセットのみ。景色は非常にシンプルである。ここで尾上菊之助が、男役の斯波主膳之助の扮装で登場。彼はこの芝居で男女の双子(主膳之助と琵琶姫)を演じ分ける。

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コクーン歌舞伎「桜姫」

四世鶴屋南北・作「桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)」を題材とした芝居だが、コクーンの「桜姫」は非常に前衛的で、いわゆる古典歌舞伎とはまったく別モノ。演出はコクーン歌舞伎や平成中村座でおなじみの串田和美氏。

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6日の夜は渋谷・Bunkamuraのシアターコクーンへ。コクーン歌舞伎「桜姫」の2日目。

何が前衛的かというと、まず、舞台美術。画家の宇野亜喜良氏の絵が、この芝居の重要な装飾となっている。場内には美しく妖しい幕絵が何枚も掛かり、上演前から、すでにアンダーグラウンドな気配が満開。故・寺山修司氏の天井桟敷や麿赤児氏の大駱駝艦の世界観が大好きな私にとって、この世界は絶対にアリ、アリ!!

コクーンには花道がないのだが、役者さんたちは客席に何度も乱入し、小屋の空気に一体感をもたらしていた。高さを生かした造形や可動式の舞台装置などがふんだんに使われていて(それを動かすのは河原乞食や河童の風体をした俳優サンたち。彼らは芝居の背景に溶け込み、アングラな景色を作り上げていた)、空間の使い方に独特のものを感じた。

福助サンは天然な姫っぷりがツボ。妖艶でとてもキレイなんだけど、それを大いに喰っていたのがお局・長浦役の扇雀サン。いやー、扇雀サンってこんなに器用な役者だったんだ~(失礼!)、と、私はずっと目からウロコ状態だった。相方の弥十郎サンとのからみもおもしろく、これはもう扇雀サンの新境地でしょう。橋之助サンはクールにキッチリこなした、という感じ。また、ウマいなあと思ったのは勘太郎サン。お兄ちゃん、いなせな悪役だったねぇ。カッコよかった。七之助サンとの対決お笑いシーンも多く、おもしろい。

3時間半を超える長丁場だけど、「芝居小屋という特殊な世界にいる自分」を存分に感じ、最後までよいノリで楽しめた。ただ、後半がちょっと垂れてたかな。原作にある妖艶な怪談話の要素が薄まっていた点を残念に思う。まあ、あれで後半にも力を入れると4時間超えてしまうだろうけど。

歌舞伎を観たことがないという人でも、すぐにその世界に入っていけるハズ。当日発売の立ち見席もあるようなので、暇を見つけて、また観に行こうと思っている。

photo/「桜姫」パンフレットとチケット。前から4列目の平場(床に座布団を敷いた席)。長時間の体育座りはキツかったけれど、役者さんが乱入してくるラッキーな位置だった。私のすぐ後ろを橋之助サンや勘太郎サンが駆け回ったとき、白粉(おしろい)の残り香が。観客の足を踏まないように気をつけながらの演技、オツカレサマです…。

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