歌舞伎

新皿屋舗月雨暈

更新頻度激落ち。2月、ハードコンタクトレンズが眼の中で割れ(眼に入れる前に亀裂が入っていたらしい。きれいに2つに割れたようで、半分は自力で、残りは眼科にて排出。大事に至らず、コレ幸い)、ThinkPadとMacが相次いでクラッシュ、出先で高価な鍋のガラスの蓋を落として割ってしまった。Rさん本当にすみません…。

3月に入り、破壊モードは去ったらしく、急遽、購入したVAIOも安定してきたし、大事な会も無事終わった。久しぶりにまったりした気分で迎える週末。さっそく、歌舞伎鑑賞へ。Sさん、ありがとうございます。

7日、「通し狂言 新皿屋舗月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ) -お蔦殺しと魚屋宗五郎-」@国立劇場。魚屋宗五郎はよく掛かる演目で私も観たことがあるが、昭和以降、お蔦殺しの場面の上演は全体の一割程度という(プログラムに掲載の、監修者のことば・尾上菊五郎丈の「ひとつの疑問」より)。

「魚屋宗五郎」では、妹のお蔦を殺された怒りと悲しみを宗五郎が爆発させるシーンが印象的だが、通しで観るとその感情の変化がわかりやすく、磯部の殿様と家老の慈悲深さも際立つような気がした。

松緑サンのちょっとほのぼのした(なぜか、そう思ってしまった)宗五郎は、孝太郎サンの杉村春子風(やはり直観的にそう思ってしまった)おはまとよく合っていて、全体的に安心して観られた。孝太郎さんのお蔦も、古風な女性の雰囲気がよかったと思う。このお蔦の物語が、あの「皿屋舗」なんだね~。「化けて云々…」のくだり、もう少し引っ張ったほうがよかったかも。しかし、今回の通し狂言は怪談ではないから、さらりとやったほうがいいのかな。悪役・典蔵に亀蔵サン。さすがにハマってます。

四幕六場、上演時間は正味2時間30分ほど。長すぎず、短すぎずで心身ともにやさしいボリュームだった。

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弁天小僧

Jan_enbujyo_sujigaki19日、海老蔵@演舞場・夜の部で歌舞伎初め。昨年に引き続き、なぜか今年も海老蔵サンの芝居が最初になった。師匠も2年連続でご出演ですね~。

今回は弁天小僧の勢揃いのために、花道がよく見える席にしたかった。2階右側の舞台近くのチケットを入手。2等とはいえ思っていた以上に舞台も花道もバッチリ見え、後ろも気にならず落ち着ける良席だった。

「弁天娘女男白浪」白浪五人男は、浜松屋、勢揃い、極楽寺(屋根・山門・滑川土橋の場)とこれだけでお腹いっぱいになりそうな構成。というか、かなり満腹にナリマシタ。海老蔵サンの弁天小僧はマッチョ系で、とにかく喧嘩が強そうw お浪はかわいらしかったけど、オネエな感じが最初からそこはかとなく漂ってきておりました。だから、弁天小僧菊之助へのチェンジもスルリ、と。そこに驚きがあったほうがよいのだろうけど、男とバレてからのべらんめぇ口調がハマっていたし、最後まですごく楽しめた。勢揃いの決め台詞、極楽寺の立ち回り(長かったね~)もおもしろかった。

冒頭の「七つ面」は、テンポよく楽しい舞踊。海老蔵サンに7つのお面を次々と手渡す後見さんの動きにも注目して魅入ってしまった。リズム感と反射神経がないと、大変そうだ。

「恋飛脚大和往来 封印切」では、獅童サンがよかった。ちょっと情けない色男の忠兵衛。その役どころが獅童サンにとても合っていた。上方の和事が意外に(失礼!)この人に合うんだろうなぁ。大阪弁ネイティブスピーカーの私でも、獅童サンの上方言葉はあまり違和感なかったし。門之助サンがいい味で、芝居を引き締めていた。

海老ちゃんワールドを今年も堪能でき、新春から満足満足。明日は玉サンの「鷺娘」鑑賞っす!

photo/新橋演舞場「初春花形歌舞伎」筋書。この富士山のデザイン、シンプルでいいな。

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観劇メモ

今年も残り1日と6時間ほど。年末は例年バタバタするけれど、2008年の年の瀬はいつにも増して慌しかった。

忙しくても、観劇の時間はなんとかキープ! そのおかげで前後にしわ寄せが生じたが、睡眠不足でも芝居の間は眠気を催さず。それだけおもしろかったということだろうか。

12/3、歌舞伎座昼の部。「高時」梅玉サン、逆さ吊りになったりしてかなりの運動量。天狗の舞がおもしろい。「京鹿子娘道成寺」坂東流は冒頭に常磐津が入る。三津五郎サンの白拍子花子は動きが優雅。「佐倉義民伝」幸四郎サン熱演。でも子別れまでがちょっと長かったかなぁ。

12/22、国立劇場。「遠山桜天保日記」菊五郎流“遠山の金さん”は、テンポがよく楽しいお芝居。悪役の菊五郎&松緑サンもいい感じ。梅之助サンを始め、新潟の芸妓衆が艶やかだった。

12/24、歌舞伎座一幕見席。「高坏」染五郎サンの高下駄タップダンス。オペラグラスで観ていたら、染ちゃんの酔っ払い姿がやけに色っぽく、うまいと思った。後日、録画済みの勘太郎サンの「高坏」(2008年2月博多座。歌舞伎チャンネルで放映)も鑑賞。勘三郎仕込みの踊りは振りも違い、コミカルな舞といった印象。染五郎サンのはタップダンス色が強く、音にしっかり合っていてこれもおもしろい。どちらもわが師匠が舞台に。おつかれさまでした。

1月から歌舞伎座さよなら公演。1/2は「顔寄せ」で、関係者が歌舞伎座に大集合とか。すべての舞台の初日が翌1/3。後半、演舞場と歌舞伎座に行く予定。楽しみだ~。

ではみなさま、よいお年を!

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顔見世

Kaomise20日、吉例顔見世大歌舞伎 夜の部@歌舞伎座。

「菅原伝授手習鑑 寺子屋」、「船弁慶」、「八重桐廓噺 嫗山姥」。筋書から主だった役者を抜き出してみると、仁左衛門、梅玉、段四郎、魁春、藤十郎、菊五郎、左團次、芝翫、歌六、時蔵、歌昇、錦之助…。さすが顔見世、華やか、艶やか。

今月は三世時蔵の追善であり、当代(五代目)時蔵サンを中心に、萬屋一門が大活躍。「嫗山姥」では歌昇サンが腰元に! その姿がなかなか想像できなかったのだけど、舞台を見ると、あらカワイイ。橙と緑の着物のチョイスがいい。豪気なようで、本当は健気でかわいくて。こんな人、いるよなぁ~とほのぼのしながら見てしまった。歌昇サンの声は女形でもよく通ってキレイ。時蔵サン、梅玉サンとの絡みもおもしろかった~。赤面の錦之助サン、どことなく獅童サンに似ていた。いや、獅童サンが錦之助サンに似てきたのか。従兄弟だもんね。

「寺子屋」では、仁左衛門&藤十郎の関西系ご夫妻がやけに濃く、梅玉&魁春のさわやか系(?)夫婦とじつに対照的だった。大人のお芝居を堪能させていただきました~。

「船弁慶」は終始、圧巻。菊五郎サン、知盛の霊がカッコいい。富十郎さんの義経も品があってよかったし、この芝居はキャストが豪華で、見応えがあった。四天王に松江、種太郎、萬太郎、右近。この並び…眼福、眼福。前のほうのお席でよかったぁ。

photo/顔見世の弾幕がかかる歌舞伎座。晴海通りを挟んで写す。2010年4月、閉館。2009年1月から「歌舞伎座さよなら公演」が始まる。

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江戸宵闇妖鉤爪

Sujigaki_hyou7日、「江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみあやしのかぎづめ) -明智小五郎と人間豹-」@国立劇場大劇場。原作は江戸川乱歩の「人間豹」。そう、松本幸四郎と市川染五郎が洋服でポスターに登場し話題となった新作歌舞伎である。

明智小五郎シリーズは小学生の頃、何作か読んだ覚えがあるが「人間豹」は記憶にない。猟奇的殺人、歪んだ情愛、異形、おどろおどろ…子どもには向かない内容だが、これが乱歩の小説の醍醐味。原作を確認すると小林少年も活躍するようだし、とくに大人向けというわけでもないだろう。

で、このストーリーが歌舞伎という手法で描かれて。時代は幕末の江戸。着物の衣装も時代がかった台詞回しも違和感なく、思っていた以上に歌舞伎ぽい。というか、フツーに江戸の時代劇という感じ。斬新なのは演出と音楽かな。ワイヤーアクション、猟奇的演出、場面転換などは新しい。染五郎サン、空をびゅんびゅん舞って楽しそう。鉤爪になったときの姿と動きがよかったっす。隈取と表情を見て、私は敬愛するベーシスト、KISSのジーン・シモンズを思い出し、ニヤリ。ワイヤーアクション&宙乗りはもっと派手でもいいなぁ。

音楽は新内がたっぷり聴け、一部SEによる効果音(太鼓、豹の咆哮)も。新内のフレーズが入る長唄の「みやこ風流」をお稽古でちょうどやっていることもあり、新内の弾き語りを興味深く見せてもらった。また、浄瑠璃、長唄それぞれ見せ場があり、掛け合いがおもしろい。師匠、おつかれさまでございます。

正味2時間余りの芝居で、展開はスピーディ。飽きないし最後まで楽しく観られたが、時間の流れがちょっとわかりづらかったかも。春猿サン、どの役もハマっていていい感じだった。染五郎サンとのツーショットが美しい。“明智”幸四郎サン、存在感はさすが。しかし紋付羽織に十手といういでたちに、うーん、“鬼平”を連想してしまったのです…。スマートな探偵・明智小五郎はスーツ姿で見たいなぁと思った次第。でも、それじゃあ歌舞伎とは言えないか~。

photo/筋書表紙。勇壮な豹の襖絵「竹林豹虎図」(名古屋城管理事務所 蔵)。

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浅草にて

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13日、平成中村座十月歌舞伎「通し狂言 仮名手本忠臣蔵」@浅草寺。夜の部(Dプログラム)を観劇。

Dプロは五段目 山崎街道鉄砲渡しの場・二つ玉の場、六段目 与市兵衛内勘平腹切の場、七段目 祇園一力茶屋の場。「若手が大役に挑戦」というのがウリのプログラムのようで、早野勘平&寺岡平右衛門に勘太郎サン、おかるに七之助サンの中村屋brothers。若い2人を中心に、まさに熱演! 悲劇を扱った芝居だから、演技はシリアスに徹してガンガン押していくぐらいがいい。

幕開きから終いまで3時間53分(途中休憩は25分1回のみ)という長丁場だったが、最後まで集中して観ることができた。ベテラン陣の演技も渋く、要所要所に存在感を示していてよかったと思う。

今回、我々が座ったのは2階下手側の梅席。舞台寄りだったので、役者さんとの距離が近く、臨場感があった。上手の舞台袖が見えたりしてリアルな生音(声、演奏)も心地よく、伝統的な芝居小屋風の造りを堪能。舞台の真横、義太夫と下座の御簾の真上に設置された桜席がすぐ隣にあったけれど、あの席は黒子さんの動きもよく見えそうだし、芝居好きにはおもしろいだろうなぁ。

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photo/上・会場内、小屋の外に停められていた車。なんだろうと思っていたら、お大尽席の送迎カーらしい。これに乗って駅から? 観劇中だけでなく、往きも帰りも超目立つ。さすがはお大尽!
下・浅草グルメ2点。アンヂェラスのホワイト(ケーキ)と亀屋の亀せんべい。美味でした~。

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夏祭浪花鑑

Q.この写真を撮った場所はどこでしょう?
ヒント/大阪ではありません。

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A.渋谷です!
6月13日(金)、Bunkamuraのシアターコクーン入口にて撮影。

コクーン歌舞伎「夏祭浪花鑑」を観に行ったら、入り口にこの「くいだおれ」人形が。正式な名前は「くいだおれ太郎」。浪花の男の物語、太郎サンが応援してまっせ~♪というノリらしい。15日までコクーンに滞在とか。

道頓堀の「くいだおれ」は今年の7月8日に閉店することが決まっている。太郎さんの行く末を気にかけつつ、以下、芝居の感想など。「夏祭浪花鑑」はコクーン独特のノリもあり、まさに祭りという感じで楽しめた。渋谷バージョンはベルリンでやったものより何十分も短いそうだが、休憩込みでだいたい3時間。あまり長すぎても疲れるし、このぐらいがちょうどいいかも。

今回は花道脇の席だったので、縦横無尽に駆け回る役者さんたちを本当に間近に観られて、大満足。泥よけのビニールシートもかぶったけれど、こちらまで跳ね返ることはなく。あれは役者さんが泥に飛び込んだしぶきをよけるものでなく、花道を走るときの跳ね返りをカバーするものなんだね。花道は泥の足跡だらけになっていた。勘三郎サンの足跡もしっかりついていたよ。

今日からキャストが一部変わっている。うーん、それも観たいのだが。師匠、千秋楽まで頑張ってくださいね~。

photo/渋谷に出張中のくいだおれ太郎さん。

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五月大歌舞伎@演舞場

21日、新橋演舞場にて五月大歌舞伎午前の部。

「毛谷村」「藤娘/三社祭/勢獅子」「一本刀土俵入」。緩むところがなく、最後まで楽しく観られた。熱すぎず冷たすぎず、ほどよい温度感。吉右衛門、歌六、歌昇、芝雀、錦之助、染五郎、亀治郎の面々による秀作をじっくりと楽しめた。

踊り三連作では、長唄、清元、常磐津の変化も堪能した。その前の「毛谷村」が浄瑠璃だから、異なる音楽ジャンルが連続で登場。これもまた充実感アリ。

今回は4列目だったので、役者さんの表情はもちろん化粧や衣装や小道具のディテールまで肉眼でバッチリ見えた。歌舞伎の衣装の柄や色、重ねの組み合わせなどを観察するのはとても楽しい。吉之亟サン(「毛谷村」お幸)と福助サン(「藤娘」藤の精)の衣装がすごく豪華だった。藤の精はものすごく愛想がよく、ニコニコ顔の舞。新鮮。

小屋を後にしたときの、ほのぼのした満足感がよかったな。派手派手な演目で押す濃厚な歌舞伎はもちろん楽しいが、まったりと楽しめる、こんな構成もいい感じ。

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ちゅう乗り

April_kabuki_sujigaki9日、歌舞伎座夜の部。

今月の歌舞伎座はニザタマカン(仁左衛門・玉三郎・勘三郎)の競演でチケットが入手困難に。一般発売初日夜(当日は勉強会だったので出遅れたorz)にアクセスしたものの1等席の1階は最前列の端ぐらいしかなく、あとは2階しかなかった。なんとか取れた席に16時半ギリギリに駆け込む。前の方で中央付近ではあるけれど花道が半分ぐらいしか見えない。うーむ、これで1階と同じ価格とは…。

「将軍江戸を去る」「勧進帳」「浮かれ心中」。真山青果の重厚な台詞劇、歌舞伎十八番の傑作、井上ひさし原作の喜劇という濃厚な番組構成だ。

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助六

Kabukiza_2書きそびれていた1月の歌舞伎座の観劇メモ。

1月16日、歌舞伎座夜の部。「鶴寿千歳(かくじゅせんざい)」「連獅子(れんじし)」「助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」。松竹チケットWEBで戻りと思われる7列目、花道に近い席をGET。花道をたっぷり使う「助六」を楽しむにはこの上ない良席だった。

場内はいつもより和服の人が多く、お正月らしい雰囲気。私は開演ギリギリまで仕事だったため、思いっきり普段着で観劇。9日の演舞場へは着物で行ったんだけどね。私の2008年は團十郎&海老蔵の芝居で幕開け。こういう年もあるのだなぁ。

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